ストロー

頭の中の整理

ジャニー喜多川の信念―ジャニーズトンチキワールドの解読

新型コロナウィルスの影響でコンサートや舞台が中止になる中、ジャニーズ事務所所属の13グループがYou Tubeにて無観客ライブの配信を行った。3月29日から4月1日の4日間にわたって配信されたライブ「Johnny’s World Happy LIVE with YOU」。私はその配信を見ながら、ある言葉の意味を考えていた。ジャニーズの舞台を見に行ったことがある人なら聞いたことのある言葉「Show must go on」。何があってもショーは続けなければならない。この言葉はジャニー喜多川の、エンターテインメントと世界平和にかける強い思いを象徴した言葉である。

 

世間一般ではジャニーズといえば歌番組やバラエティ番組のグループアイドルのイメージが強いかもしれないが、ジャニーさんとしてはそのようなタレント活動よりもミュージカル舞台をメインでやりたかったようで、私はジャニーズの神髄は舞台にこそあると思っている。ジャニーズの舞台はジャニーさんの思想のエッセンスが凝縮されいていて、「分かる人には分かる、分からない人にはさっぱり分からない」というカルトな、"トンチキ"とも言われる仕上がりとなっている。ジャニー喜多川プロデュースで何年も公演を重ねている作品は「SHOCK」「DREAM BOYS」「PLAYZONE」「少年たち」「JOHNNYS' World」など。

 

そんな舞台から読み取れるジャニーさんの思想を、私はこの3つに分類している。

①世界平和

②最高のエンターテインメントの追求

少年愛

 

 

①世界平和

ジャニーさんは日系2世として戦前のアメリカに生まれた。日本に移り住んだ後、第二次世界大戦を経験。和歌山に疎開し空襲を経験したという。またその後には朝鮮戦争の戦争孤児に英語を教える仕事で朝鮮半島に渡る。この2度の戦争体験が、ジャニーさんに平和の尊さを思い知らせる経験となった。

「show must go on。何があってもショーを続ける。」
これは「世界が平和なのでショーが出来る、だから逆説的に、ショーをすることによって世界を平和にする」というジャニーさんの信念だ。どんなに乱れた世の中になっても、何があってもショーは続けなければならない。ショーという平和の象徴を提示し続けることで、平和な世の中を守っていく。これは「SHOCK」や「JOHNNYS' World」、「少年たち」といったジャニーさんのプロデュース舞台で度々登場するモチーフである。

 

②最高のエンターテインメントの追求

ジャニーさんの夢は、エンターテインメントの本場であるアメリカの地に日本のエンターテインメントを提示することである。

NHK WORLDで海外放送もされているテレビ番組「ザ・少年倶楽部」でやたら強調される「番組をご覧の世界の皆さん」というアナウンス。先日のYouTubeライブ配信でも多くのグループが「世界に配信されているので」というMCをしていて、私は「絶対言うと思った!」と1人でウケた。マジで。

ジャニーさんのアメリカへの拘りはめちゃくちゃ強い。美 少年は2019年8月にジャニーさんの地元ロサンゼルスの日系二世イベントででライブを行った。Travis Japanが初めて与えられたグループオリジナル曲は「夢のHollywood」というミュージカル映画のナンバーのような楽曲。元ジャニーズJr.のトランピーこと石田直也がSNSで発信していた内容によると、彼が度々アメリカへ勉強も兼ねた旅行に行っていたことをジャニーさんは褒めていて、彼が事務所を辞めた後も「トランピーみたいにどんどん海外にかないと」と言っていたらしい。自身がロサンゼルスに生まれ育ち、青春時代にアメリカのエンターテインメントを見て感銘を受けていることもあり、ジャニーさんにとってエンターテインメントの本場はアメリカであり、ハリウッドやブロードウェイやラスベガスなのである。そのエンターテインメントの総本山であり、自身の原点でもある地に日本のエンターテインメントの凄さを提示することがジャニーさんの夢なのだ。美 少年のロサンゼルスライブの際、ジャニーさんはメンバーの岩崎大昇に演歌を歌うことを薦めた。ジャニーさんの演出で頻出なのが、謎の和風演出。なんか和装で和風の仮面をめくってもめくっても無限に出てくる手品みたいなやつ(?)とかよくある。滝沢秀明の「滝沢演舞城」や亀梨和也の「1582」の演出は、この和風演出を受け継いでいるなぁと思う。(この2人は、ジャニーズのジャニーズらしい部分を濃く受け継いだ2人だと思う。)

2020年の東京オリンピックが決まった年には、「2020」に掛けた名前のグループや舞台を作っており、日本のエンターテインメントを世界に提示できることへの意気込みが感じられた。ジャニーさんに東京オリンピックの開会式見てほしかったな。

 

少年愛
ジャニーズの現場(舞台やコンサートのこと)では、何十人もの男子小学生が上裸で和太鼓を叩くみたいな演出とかよくある。10代前半の少年達が走り回って歌ったり、並べるだけ並べまくった通称「ジュニアマンション」とか。こ、こんなに大量のショタを浴びて(法律的に)大丈夫だろうか……?と不安になってくるレベルで、現場では大量の少年の肉体や精神のみずみずしい輝きを浴びることになる。

ジャニーさんについて語る上で触れなければならないのが、事務所所属の未成年男子へのセクシャルハラスメント性的虐待。これは東京高裁において事実認定されている。

光の面でも闇の面でも、ジャニーさんは少年の一瞬の美しさにとても惹かれているようだった。いわゆるショタコン。もっと言うとペドフィリアのゲイ。

ジャニーズには、ジャニーさんのスペオキ(スペシャルお気に入りの略)と言われるタレントがいる。よくスぺオキだと言われるのは堂本剛中山優馬佐藤勝利あたり。個人的には、松本潤平野紫耀とかもお気に入りなんだなぁと思う。顔は中山優馬とか佐藤勝利みたいなキリっとした子がタイプっぽい。ジャニーさんに「Youは特別かっこいいよ」と言われたという佐藤勝利の、23歳現在でも10代半ばのような容姿に、私は「ジャニーさんはとうとう、特別お気に入りの少年の時間を、最高の時で止める特殊能力を得たのだ」と、愛の強さと怖さを感じている。

「子供は大人になれるけど、大人は決して子供に帰れない。だからこの想いを、時計を止めて……」

これは映画「少年たち」でのジャニーさんのメッセージである。儚い一瞬の少年の輝きこそが、ジャニーさんにとって最高に美しく輝いて見えるものなのである。

 

そんなジャニーさんの集大成が「JOHNNYS' World」という舞台だと私は思っている。フライングなどの圧巻の舞台演出、平和の尊さ、少年の肉体のみずみずしさ、日本のエンターテインメントにかける熱い思い、そんなジャニーさんの思想のエッセンスが濃縮されていて、ほとんどの人には訳が分からないトンチキな仕上がりになっている。けれど、この舞台こそがジャニーさんの思想や信念を濃縮したものであり、ジャニーズの神髄なのだ!!!!ジャニーズについて知りたい人はマジで見てほしいんだけど、DVD出てないし公演チケットは倍率高いし熱心なオタク以外は見られないんだよね。一番映像を手に入れやすいのが映画「少年たち」かなぁ。この映画はジャニーさんの脳内をこの世に具現化したものなので、相変わらずトンチキでジャニーズの舞台作品に触れたことがない人はいきなり見ると混乱すると思う。笑 トンチキという言葉の表す意味は、この映画を見れば分かる。分かるというか、分からないというか……(?)考えるな感じろ(?)上記の内容を踏まえれば、メッセージ自体は分かると思う。ストーリーを表面的に見るだけだと理解しがたいが、これはジャニーさんの脳内であり、ジャニーズJr.の世界のメタファーだと思って見ると分かるかもしれない。ジャニーズ見たことない人にいきなりそれは高度だけど、ジャニーズのエッセンスの部分でもあるので、触れてみたい方にはオススメです。

 

ジャニーさんの考えていること全部知っているみたいな書き方したけど、これは私がジャニーさんの作品を見た上での私の解釈です。なので、みなさんもジャニーさんの作品を鑑賞した際には、ジャニーさんの表現したいものについて考えてみてください!