ブロードウェイミュージカル「Kinky Boots」を見てドラァグカルチャーに興味を持ち、RuPaul's Drag RaceでズブズブいってからSNSなんかでゲイカルチャーを見ているのだが、特定のアーティストがLGBTカルチャーで支持されていることが分かってきた。そのような人々は、ゲイアイコンと呼ばれている。元祖ゲイアイコンはハリウッドで映画オズの魔法使いに出演した子役のジュディ・ガーランド。
ジュディ・ガーランドはなぜゲイの人々から支持され、ゲイ・カルチャーのアイコンになったのか？
私は当事者ではないので、以下は私の個人的な感想であるということを先に述べておきます。
20世紀からゲイアイコンとして人気なのが、マドンナ、カイリー・ミノーグ、シンディ・ローパー、ビヨンセ、スパイスガールズなど。21世紀だと、レディー・ガガ、クリスティーナ・アギレラ、ブリトニー・スピアーズ、ケイティ・ペリー、リアーナ、トロイ・シヴァンとか。日本なら松田聖子、中森明菜、安室奈美恵、浜崎あゆみ、松浦亜弥、モーニング娘。、Perfume。韓国アイドルだとTWICE、MAMAMOOなんかはゲイアイコンとして人気があると思う。強くてキラキラギラギラしてる女のイメージ。可愛いだけじゃなくて心身ともに強そう。ゲイアイコンは女性に限らないが、ディーヴァっぽい女性が多い。
カイリー・ミノーグ──ゲイ・アイコンという称号をもつ女神 | GQ Japan
TRUE COLORS vs TRUE BLUE?――かつてのライヴァル、マドンナとシンディをいまあえて比較してみると…… - TOWER RECORDS ONLINE
画家なら元祖はTom of Finland。祖国フィンランドでは切手にまでなった。日本にはゲイアート界を牽引する巨匠・田亀源五郎先生や児雷也先生など、著名なゲイアート作家がいます。
近世にかけてゲイアイコンとして人気があったのが、キリスト教の聖人セバスティアヌス。聖セバスティアヌスは、半裸で木に縛り付けられ、矢で射られている青年の姿で描かれることが多い。
人気の理由は見た目がエロいから。
わざわざ細マッチョな美青年に描いている画家が多いのは、もう男性の肉体美を描きたいという下心からじゃん。人間の肉体は美しい、裸だったら何が悪い、それがルネサンス。セバスティアヌスの絵画は三島由紀夫の「仮面の告白」にも登場し、三島自身もセバスティアヌスの扮装をしてポートレートの撮影をした。撮影は篠山紀信。三島由紀夫って「筋骨隆々な男性が刃物などで出血しながら死ぬ」モチーフめっちゃ好きだよな。三島がゲイなのかそうでないのかは論争になるが、私はゲイだろと思う。男体への拘りがすごい。筋骨隆々な男性が刃物などで出血しながら死ぬイメージが好きなんだから、そりゃ自分も体鍛えるし、あんな死に方もするだろ。「自分がなりたくない姿」であるナヨナヨした太宰治のこと嫌いなのも分かる。
マドンナはクイーン・オブ・ポップあり、稀代のゲイアイコンでもある。私の一押しステージを貼っておきます。マリーアントワネット風で本当に可愛い！マリーアントワネットも初期のゲイアイコン、レズビアンアイコンだったそうなので、稀代のゲイアイコンであるマドンナが歴史上のアイコンであるマリーアントワネットを演じているの本当に天才の演出。
ビヨンセのコーチェラのステージも良すぎて泣いた。Netflixにライブドキュメンタリーがあるのでぜひ見てみてください。出産を経て、母として黒人として女としてアーティストとして一層強くなったビヨンセ……。黒人大学のマーチングバンドを背負ってます。ビヨンセは、ディスティニーズ・チャイルドというガールズグループ時代から、「Independent Women」自立した女性のシンボル。強さも優しさも内包した強い女のアイコン。なんか神々しすぎて実際の身長よりもデカく見えるんだよな。魁!!男塾と同じ原理で。
TWICEが進化したのがFeel Specialという楽曲。それまで典型的可愛い系アイドルでキラキラ恋愛楽曲しかなかったが、Feel Specialは女の子の強さを歌った楽曲。日本語字幕がついているので字幕オンで見てみてください。傷ついても助け合って強く生きていくTWICEちゃんの表情泣ける。この曲聞くと泣いちゃうんだよね。衣装がペラペラなのは許せませんが。
5年くらい前に、女児向けコンテンツのアイカツ！にハマったんだけど、今見るとめちゃゲイアンセムっぽい曲が多い。一番はSHINING LINE*だな。歌詞が……良い……。
あとアイカツの美月さんはゲイアイコンっぽい。美月さんはアイカツ世界におけるビヨンセだからな。美月&エルザ&ひびきのTake Me Higherなんてもはやデスチャじゃん。壮観。
ゲイアイコンとは即ちダイバーシティの象徴でもあるので、フェミニズムや反人種差別の象徴ともなる。ここ3年程でポリティカルコレクトネスというものが重視されるようになり、一人ひとり違う人間に優劣は無く、どんな人間にも生きやすい社会にという風潮が高まってきて本当に良かった。何て言うか……イギリスの名誉革命、フランス革命、日本の青鞜社や日本水平社、アメリカの公民権運動、ウーマンリブと脈々と続く人類の人権獲得の闘争と進化の歴史なんだよな。人類を発展させるものは自然科学だけでなく、こういう人文科学や社会科学も立派な科学なんだよ。
2019年の氷川きよしのディーヴァへとの変貌は、社会の価値観の変貌を強く印象付ける出来事だった。この曲はドラゴンボールのアニメの曲なのでもともとアニソンのフェスに出ていて2ちゃんでは有名だったんだが、2019年5月ごろにTwitterでこの動画がバズってから公式が動画アップして氷川きよしサイドが合わせていくのが早かった。個性を受け入れられる社会になりつつあると思う。
K-POPではSMエンターテインメントのアーティストはダイバーシティに敏感な発言が多いと感じる。会社の方針で指導しているようだが、良い取り組みだと思う。NCTのドヨンが「髪の長い女の人や男の人は大変ですね」と発言した回のライブ入ってたんだけど、髪が長いのは必ずしも女の人だけじゃない、って普通に思えるドヨン……。ドヨンって繊細で優しい子だよなあって思ってる。
ジャニーズからはSexy Zoneのマリウス葉がダイバーシティについて語る連載を始めた。ジャニーズの中でもSexy ZoneやKing&Princeら若い世代は発言に気を遣っているのが分かる。この記事は分かりやすくまとまっているのでマジで読んでほしい。↓
セバスティアヌスについて書こうと思ってたのに、だんだん壮大な気持ちになってきて長くなっちゃった……。
最後に、私を沼に突き落としたキンキーブーツのローラ。元はブロードウェイミュージカル。三浦春馬のローラが一番好きだな。海外キャストよりも気品があって聡明で包み込む母性みたいなものが強い。初めて見たローラのことをママだと思ってるだけかもしれないが。楽曲はシンディ・ローパー。
