ストロー

頭の中の整理

HiGH&LOWの構造主義論とLDH HIROさんの理念

HiGH&LOWハイローシリーズに繰り返し登場するテーマ、それについて真に理解するためにはLDH社長HIROさんの理念とEXILEの歴史について知る必要がある。

 

 

 

・変わっていくこと、Change or Die

これはハイローシリーズ通しての最大のテーマである。
人は変わっていくし、人生にはステップアップして変わらなきゃいけない時が来る。そしたら組織は世代交代していく。そしてステップアップして環境が変わったとしても想いは変わらない。だから形にとらわれるな、進めというメッセージがハイローシリーズのハイライトであり、LDHとHIROさんの最大の理念なのだ。それを伝えてるのがMUGENと龍也さん琥珀さんの関係、それを再描写してるのがザワの村山さん。HIROさんがこの考えに至ることになったのは、彼の仕事がダンサーであったこと、そしてダンス&ボーカルグループを指揮しているという部分にある。ダンサーは一生続けられる仕事じゃない。体が衰えたら引退しなければならない。しかし引退といっても40代、これからの人生はまだまだ長い。ダンサーを引退したら人生が終わるわけじゃない、そこからも人生は続いていくから、それぞれ俳優やファッションブランド、カフェなどセカンドキャリアを見つけていかなきゃならない。そしてメンバーが引退しても、EXILEには次の世代のメンバーが加入し、世代交代して続いていく。こうして、中身が入れ替わったとしてもEXILEとしての意思やコアの部分は永遠に継承されていくのだ。永遠じゃない無限。

 

※参考:HIROさんの著書「ビビリ」の引用
P28「形あるものはいつか必ず壊れる。なんとか、この死すべき運命から逃れる手はないか?」→P48「EXILEへの改名によって消えたはずの、僕たち初代J Soul Brothersの思いは継承されていく。メンバーは変わっても、魂は確実に受け継がれている。」→P70「ただ単にメンバーが入れ替わっていくだけだったら、名前がEXILEなだけで、いつの間にかまったく違うチームになってしまうだろう。だから僕は、ストーリーを大切にする。」「EXILEの魂と志を仲間から仲間へと、リレーのバトンのように受け継いでいくのだ。」

 

 

・ドラマが終わっても普通に人生は続いていく

ダンサーは肉体が衰えたら引退しなければならない、それは組織の新陳代謝のためでもあり、そのように組織は意思を継承し無限に続いていくことができる。そのため、LDHはダンサーのセカンドキャリア形成に積極的である。

<EXILEメンバーのセカンドキャリア一覧>

MATSU→俳優 劇団EXILE松組の旗揚げ

USA→ダンス教育 DANCE EARTH PARTY、Eダンスアカデミー

MAKIDAI→DJ PKCZ

KENCHI→文芸、日本酒 たちばな書店

KEIJI→俳優、九州の地域活性化活動 THE NINE WORLDS

TETSUYA→コーヒー AMAZING COFFEE

NAOTO→ファッション STUDIO SEVEN


これを描写したのがロードムービーとしてのザ湯だ。SWORDと九龍の抗争後のDCTトリオの人生を描いている。人生はド派手なドラマばかり続くわけではないが、毎日少しずつ続いていく。ザ湯こなれた人情ドラマに仕上がってて普通に泣いたし。

 

 

・雅貴がUSBを託すのは琥珀さん

レッレで入手したキーアイテムのUSBを、雅貴は琥珀さんに託した。作中での雅貴と琥珀さんの交流は、MUGENvs雨宮兄弟の1戦のみである。たった一度拳を交えただけの琥珀さんを雅貴がそれほどまでに信頼していたのは何故か。ハイローが拳と拳の物語だからというのもあるが、これは現実世界でTAKAHIROが一番信頼できるのはAKIRAだから当然なのだ。(メタ視点)

この2人はEXILE第二章から加入したたった2人の同期である。

<EXILE略歴>

1999年 J Soul Brothersを結成 メンバー:HIRO、MATSU、USA、MAKIDAI、SASA

2001年 ボーカルを加入しEXILEと改名 メンバー:HIRO、MATSU、USA、MAKIDAI、ATSUSHI、SHUN

2006年 SHUNの脱退、AKIRAとTAKAHIROの加入 ここからEXILE第二章と言われる メンバー:HIRO、MATSU、USA、MAKIDAI、ATSUSHI、AKIRA、TAKAHIRO

2009年 二代目J Soul Brothersメンバーの加入 EXILE第三章 メンバー:HIRO、MATSU、USA、MAKIDAI、ATSUSHI、AKIRA、TAKAHIRO、KENCHI、KEIJI、TETSUYA、NESMITH、SHOKICHI、NAOTO、NAOKI

2013年 HIROのパフォーマー引退

2014年 岩田剛典、白濱亜嵐、関口メンディー、山本世界、佐藤大樹が加入 EXILE第四章 メンバー:MATSU、USA、MAKIDAI、ATSUSHI、AKIRA、TAKAHIRO、KENCHI、KEIJI、TETSUYA、NESMITH、SHOKICHI、NAOTO、NAOKI、岩田剛典、白濱亜嵐、関口メンディー、山本世界、佐藤大樹

2015年 MATSU、USA、MAKIDAIのパフォーマー引退

2016年 ATSUSHIの活動休止とともにグループも充電期間

2018年 ATSUSHI活動再開とともにグループ活動も再開 メンバー:ATSUSHI、AKIRA、TAKAHIRO、KENCHI、KEIJI、TETSUYA、NESMITH、SHOKICHI、NAOTO、NAOKI、岩田剛典、白濱亜嵐、関口メンディー、山本世界、佐藤大樹

 

2016年EXILEが充電期間に突入するきっかけとなったのが、ATSUSHIの体調不良だった。新陳代謝を続け変わっていくEXILEの姿に戸惑ったATSUSHIはストレスで体調不良に。歌うこともできなくなっていた。自分の属するEXILEが変わっていくことが、ポジティブな変革であることは分かってはいるものの、簡単には受け入れられなくなっていたのだ。そしてATSUSHIは休止を決め、アメリカへ留学した。これはザムやドラマ2期でのMUGENの変化を拒んだ琥珀さんの姿に重なる。琥珀さんもレッレのラストシーンで海外に飛び立った。(のかどうか結局よく分からないけど……?)

参考:

このままだと壊れてしまうーーATSUSHIがEXILEから離れた1年半、「休む」がくれた希望 - Yahoo!ニュース

ATSUSHIのいないEXILEを引っ張ってきたのがTAKAHIROだった。ザラではTAKAHIROが締めのコメントをしている。ATSUSHIの休止、そしてHIROさんや創設期からのフロントメンバーが引退していく中、フロントに立つことになったTAKAHIROのプレッシャーは大きかった。そんなTAKAHIROにとって先輩でも後輩でもなく隣で支えあったのがAKIRAだった。AKIRAは自伝「THE FOOL愚者の魂」で、TAKAHIROのことを「EXILEを救った人」と書いている。同期で二人三脚の2人。AKIRAは「TAKAHIROとは、いついかなるときも、二人三脚である。もちろん、ずっと変わらない」と言い、TAKAHIROもAKIRAのことを二人三脚で繋がっている兄貴だと述べている。二人三脚というワードは2人を象徴する言葉として様々なインタビューで登場する。熱くなって大喧嘩しても仲直りするし、一番信頼していて支えあって同じ方向を向いているTAKAHIROとAKIRA。雅貴が琥珀さんにUSB託すのも当然。

参考:

ORIGINAL | EXILE TAKAHIRO 「the VISIONALUX」SPECIAL WEBSITE

 

 

・ドラマ〜ザムのリフレインとしてのザワ、大人と子供の物語
ザワのプロットはドラマ〜ザムのMUGENのストーリー。新太に向かって楓士雄が「どうしちまったんだよ!」って言う台詞はザムのコブラ琥珀さんの台詞のオマージュ。佐智雄と唯はスモーキーとララ。誠司は曲がらなかったノボル。オロチ兄弟は雨宮兄弟、など。ちなみに雨宮兄弟のバイクはハーレーダビッドソンのカスタムで数千万円、服はイヴサンローランディオールの何百万円もするものだが、オロチ兄弟のバイクはカワサキで服はSupreme。ギリ買える値段で可愛い。

ザワのストーリーを通して村山さんは大人になっていくが、大人と子供の対比もハイロー頻出テーマである。ハイロー世界における大人とは、人生の変化を受け入れ、働いて自分の生活を営んでいる者。子供とは、何物にも縛られない自由な存在。MUGENを抜けて洋食屋を始めた龍也はハイロー世界で誰よりも早く子供から大人になっていった。そんな龍也のライフステージの変化を受け入れられず、子供であることにしがみついていたのが琥珀さん。琥珀さんは「龍也はMUGENを捨てた」と思ってたけど、龍也の言う通り、捨てたんじゃないんだよな。変わってくんだよ。変わってくことと仲間を失うことは全然違う。それがHIROさんの想いだから。ザワでは村山さんのモラトリアムと大人への成長、鬼邪高校の組織の新陳代謝が描かれた。ハイローシリーズ通してのテーマがしっかりと繰り返されており、さらに作数を重ねるごとに洗練されていく脚本。ザワは最高。村山さんは年齢的にはとっくに大人なのに、いつまでも子供の世界に留まっている。村山さんが卒業しない鬼邪高校は組織として老化していき、やがては終わってしまうだろう。しかし村山さんは大人になることを受け入れ、社会人1年生としてバイトしてみたり、卒業を決めた。偉すぎ。EXILEパフォーマーが引退していき、それぞれのセカンドキャリアへとライフステージを進めていくのと同じですね。ザワのラストシーンは村山さんの子供時代からの卒業、そして俳優活動に熱い想いを持っている山田裕貴のハイローシリーズへからの卒業と感謝でもあった。ハイローシリーズもメンバーを入れ替えて無限に続けていくつもりだな?

 

 

LDHはLove, Dream, Happinessの頭文字、EXILEのテーマは「夢を持つことの大切さ」である。HIROさんの掲げる理念はデカい。この想いは、新陳代謝を続けるEXILEによって永遠に、無限に継承されていく。

 

なんかこうやって見ると琥珀さんが情けない奴みたいだけど、九十九さんにとっては人生を救ってもらった恩人で唯一無二の大切な人なんだよな~~~。九十九さんは琥珀さんのことをずっと信じていて、どうしても帰ってきてほしくて尽力したわけだし。クソデカ感情。琥珀さんはコブラやヤマトたち山王連合会にとっても偉大な先輩で、九十九さんやコブラヤマトからしたら立派な大人だった。ザムの琥珀さんvs九十九さん&コブラ&ヤマト戦ほんま好き。琥珀さんに押さえつけられてるコブラの「MUGENは仲間を見捨てねぇ」が、最高に高まった岩田剛典の感情が乗りすぎた結果のアドリブと知って、岩田剛典まじで天才役者か!?!?となった。あの台詞でMUGEN ROADが流れるの、完全に映画のコアの部分でしょ。その後の琥珀さんの慟哭の背景で電飾の火花が散ってるのも、ザム冒頭で雪が降っているのと対比になってて、琥珀さんの心情描写になっている。ハイローくん基本ガバガバなのにこういうとこ急にテクニカルじゃない!?九龍のアジトで琥珀さんの両脇に李くんと九十九さんがいるのも、琥珀さんの中の善悪2面を表しているんだわ。九十九さんは琥珀さんの良心の部分。九十九さんが琥珀さんのそばにいる限りもう大丈夫だな!

 

 

・5つのチームの集まりSWORD連合

ついでに、EXILEの成り立ちとメンバーの関係についてメモしておく。元々事務所所属前からダンスチームを組んでいて知り合いだった人たちの集まりらしい。

●POLY-3:KENCHI、TETSUYAを含む4人のチーム

●SOUL DIMENTION:KEIJIを含む3人のチーム

この2チームは2003年ごろの活動で、ライバル的な存在だったらしい。この頃にAKIRAとも出会っている。

そしてこの2チームが統合したのがフルクラムというチーム↓

●FULCRUM:KENCHI、TETSUYA、KEIJIを含む4人のチーム。この3人は今でもファンからフルクラと呼ばれる。ちなみにフルクラ時代のブログが現存しており、やんちゃだった頃の3人の写真も見られる。

http://fulcrummunity.blogspot.com/2005_11_01_archive.html

●RAG POUND:AKIRA、TETSUYA、NAOKI佐野玲於などが集まったクランプチーム。通称ラグパン

youtu.be

EXILE第二章で加入したAKIRAは元々ダンサー仲間で、岩田剛典はNAOKIの誘いで加入するなど、LDHパフォーマーは元々知り合いだった人たちの繋がりが強い。

一方、TAKAHIROのようにオーデションから加入したメンバーや、山下健二郎関口メンディーのようにEXPGというLDHのダンススクールから上がってきたメンバーもいる。ボーカルはVOCAL BATTLE AUDITION(通称VBA)というLDH主催のオーディションで加入した人が多い。具体的には、ATSUSHIとMESMITHはアサヤンをきっかけにスカウト。清木場俊介avexからの紹介。それ以外はVBAパフォーマーはGENERATIONSから下の世代(Jr.EXILE)はEXPG出身が多いかな。